プレゼント

チルチルミチルの青い鳥、それは本当の奇跡の証。

シェリル・クロウ『ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・シェリル・クロウ』(2003.10.22)

ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・シェリル・クロウ

 今月は、新譜が出ます。シェリル・クロウの、2003年にリリースされた、美しいベストアルバムを、まず書いてみます。何枚も、このあいだもレビューは書いていて、慣れてもいるのですが、それでも緊張していますので、よろしくお願いします。

 アメリカという、独特の、まるで軍歌のような国を代表する、金髪、長身痩躯の、この世で一番よく出来た女性シンガーソングライターです。今、辿り着き、振り返るとき、彼女の、意外とミーハーであろう、寛容さの価値観。ファッションも、最高に明るいであろう、個性。そうして、何より、理論的で、理知的な、歌詞に、感動しながら、今もかけながら書いています。

 人生は、演技のように、時に、おどけてみせるほど、意識するのが大切なのだ、と、よく聞きますね。本当の知覚は、記憶の中でしか、ありえない、と。今、振り返り、その個性を思うとき、儚さと、強靭さは、両立するものであるということに、感動します。

 ポップでキャッチーな、メロディラインと、ストロングでカントリーな、アレンジメントが印象的です。そういう、ポップとロックの両極の、触れ幅とかそういう評論は、たくさん見てきましたし、まあそれはそれで本当にいいことなのでいいのですが、本質的に関係ないですね。ポップとは音楽のみならず、すべての基盤。ロック、それは、本当の感情の入り組みです。要するに、それは単なる生き様、人生観です。

 女が生きていくうえで、必要なのは、例えば髪型はどうしたらいい、とか。ファッションテナントはどこで買えばいい、とか。それこそ行きつけの美容院はどこにしたらいい、とか。車に乗るか乗らないか、煙草は吸うか、吸わないか。マニキュアの色は何が好きで、メイクはどんだけすれば気がすむのか、というようなことです。

 今はジェルネイルが流行っていますが、それをどうしたら、どうやったら、自分の価値観に出来るだろうか、とか。ネイルサロンでするのか、とか。セルフで自分でするのか、とか。そういうことで、幸福はつくられ、自分らしく、イキイキとあれる。そのことを本当にもっと、もっと、知りたい、と音楽のそのひびきのなかから感じとれます。シェリル・クロウは、この世で一番の、精悍な女性です。いつもその女らしさこそを、感じとります。