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チルチルミチルの青い鳥、それは本当の奇跡の証。

ザ・ビートルズ『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(1967・06・01)』

サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)

 ザ・ビートルズとは、すばらしい音楽家の集団であったと、少しでも聞いたことがあるかたは、知ってくださっていると存じます。イギリスのリバプールという街の出身の、才気走った4人組、ポールとジョンとジョージとリンゴと、そうして、ジョージ・マーティンというプロデューサーの、すばらしい航海のあとのわだちです。20世紀を代表する、いや、一番の大きなムーヴメントであり、象徴であった、音楽のみならず、芸術といっていい、難しいことのあまりない、美しいフォルムでした。

 彼らが、私たち後進に残してくれたのが、これらの、あまりにも美しいマスターピースです。それは、私たちすべてが後世まで伝えていきたい、平衡感覚を与えてくれる、音楽作品のことです。そうして、その、ひとつひとつの圧力を、盤を、覚え、そうして次の人生が開かれていく、そのことの、もっとも象徴的な、ものごとです。

 私は、今回、この発売50周年の記念の再発において、私が信じていたのより、ちょっとだけ、ジョージ・マーティンさんはクレバーなんだと気付いたと書いておきます。それが何かと問われたら、いや、たいしたことでしかないのですが。

 私がビートルズといって、すごく大きく思う尊敬しているところというのが、編曲と録音のたくみさなのですね。今回の再発にあたり、よく解ったのですが、アナログの機械しかなく、パソコンのない時代においてね、どうやったら、こんな細かい、音色まで解るような音で、音楽といえる範疇でも一番いい範囲のものをね、録音できたのだろう。と思いました。私が具体的に考えていって、一番感動したことは、どうしたらこんな、歪さの一切ない、美しいスキャンダルでもなんでもない、バロックの音色の編曲を、そんな技術的な前時代といえるころに出来たのだろう、と思いますと、本当にそう書いておきます。

 そう、要するに、かねてから音楽はあり、編曲パターンがあり、そうして、それを、永遠にありたいと願う、普通の思考で願いながら、一生懸命具現化させた、1967年の、ザ・ビートルズです。美しい音色と、ポップすぎる旋律と、ボーカリストの声に、酔いしれてください。ロックともポップとも違う、スタンダードこそ、ザ・ビートルズです。